食中毒の
原因って?

食中毒とは

「食中毒」は、食べ物や手などに付着したウイルスや細菌が体内に入り、下痢や腹痛を起こすことをいいます。食中毒というと、飲食店での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生しています。普段、当たり前にしていることが、思わぬ食中毒を引き起こすことがあるのです。一般的に、2~3日間程度で回復しますが、症状がひどい場合は発熱や嘔吐をともなったり、血便や脳症などの重病に至ったりするケースもあります。

食中毒の種類と予防策

食中毒には、「細菌性」と「ウイルス性」の2つの「種類」があります。細菌性とウイルス性の食中毒の違いは、次のとおりです。

「細菌」による食中毒

食中毒を引き起こす原因は、「カンピロバクター」「サルモネラ菌」「ブドウ球菌」「病原性大腸菌」「腸炎ビブリオ」「ボツリヌス菌」などの細菌です。

感染源と発生要因

食中毒を引き起こす細菌は「ヒト」や「動物」(および、その「排泄物」)が保菌していることが多く、主に手指や食品、調理器具についた汚れを介して感染します。

「ウイルス」による食中毒

食中毒を引き起こす原因は、「ノロウイルス」が主なものです。

感染源と発生要因

冬場に発生しやすく、「カキを含む2枚貝」「ノロウイルスに汚染された食品や水」が、主な感染源となります。

食中毒の予防策

主に4つのポイントを心がけましょう。

食品の保存

  • 温度管理の必要な食品は、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れる。
  • 詰め込みすぎに注意する。
  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持する。特に魚介類は4℃以下でよく、冷蔵庫扉のポケットは野菜室は約6℃と高めなので魚介類は入れない。
  • 肉や魚などは、ビニール袋や容器に入れ、ほかの食品に水分がつくのを防ぐ。冷凍や解凍を繰り返すと微生物が繁殖する場合もあるので、1回分ずつに小分けして保存する。

手洗い

  • 肉、魚、卵などを扱う前後は、必ず手指を洗う。
  • トイレに行ったあとも手洗いを行う。

下準備

  • 調理器具はアルコール除菌剤などで除菌した清潔なものを使う。
  • 生で食べる果物やサラダ、調理済みの食品に、肉や魚のドリップがかからないようにする。
  • 野菜や果物はよく洗う。特に土には微生物が多いので注意する。
  • 生肉や魚を切ったあとの包丁やまな板はすぐに洗う。できれば肉・魚・野菜用と使い分ける。使用前にアルコール除菌剤などで除菌すると安心。
  • 室温付近から35℃前後までは微生物が繁殖しやすい温度なので、冷凍した食品の解凍は室温ではなく、冷蔵庫の中や電子レンジで行う。料理に使う分だけ解凍し、解凍後はすぐに料理する。
  • 生で食べる果物やサラダ、調理済みの食品に、肉や魚のドリップがかからないようにする。

調理

  • 加熱調理する食品は十分に加熱する。殺菌のためには、温度だけでなく、加熱する時間も大切。
    一般的には75℃で1分が目安。ノロウイルスなど一部の菌は、86℃で1分が目安となる。
  • 調理を途中でやめる場合は、食品をいったん冷蔵庫に入れる。
  • 電子レンジを使う場合は、専用の容器を使い、熱の伝わりにくいものをかき混ぜる。

キッチンには菌がたくさん

キッチンには菌がいっぱい!目に見えなくても、菌がたくさん隠れています。薬用のハンドソープで手洗いして、しっかり殺菌・消毒することが必要です。

きれいにしているキッチンでも、細菌やウイルスがまったくいないとは限りません。スポンジやふきん、包丁、まな板などにも、細菌やウイルスが付着しています。

細菌やウイルスは目に見えませんが、肉や魚などの食材には、細菌やウイルスが付着しています。また、いろいろな物に触れる自分の手にも、細菌やウイルスが付着していることがあり、外から帰って手を洗わずに食材や食器などを触ると、手を介して、それらにも細菌やウイルスが付着してしまうこともありえます。普段食事や調理をするキッチンやリビングは、常に清潔を心がけましょう。

普段の手洗いも気を付けて

キッチンやタオルなど、環境を清潔に保っていても、手洗いをしないと菌が増える要因が増えてしまいます。以下の3つの「ポイント」に気を付けて、手洗いを心がけましょう。

1

トイレのあとにも石けんや
ハンドソープを使って洗う

トイレの個室のカギ部分など、たくさんの人の手が触れるところは汚れがたまりやすいので要注意です。トイレのあとには、石けんやハンドソープを使って手洗いをする習慣を改めて徹底していきましょう。
2

しっかりと泡立てて洗う

石けんやハンドソープを上手に泡立てられない子どもは、手洗いを短時間ですませてしまう傾向があります。石けんやハンドソープをきちんと泡立てて洗うことが、汚れをしっかり落とすためには大切ですが、泡立てが上手にできないと、手洗いそのものも簡単にすませてしまいがちになるようです。泡立てが苦手な小さな子どもには最初から「泡で出るタイプ」のハンドソープをおすすめします。
3

洗い残しやすい部分に注意する

洗い残し部分を確認する実験では左記のような結果が出ています。この実験では洗い残している部分を黒色で示しています。指先や爪、指と指の間、手首は特に黒くなっていて、洗い残しやすい部分だといえます。
清潔なキッチンと正しい手洗いで、食中毒の予防をしましょう。

意外とできていない?
手洗いのポイント

首都圏の幼稚園、保育園の園児100名の手洗いを観察した結果のグラフ(2011年)

ライオンが首都圏の保育園と幼稚園に通う子ども約100名の手洗いを観察した結果、食事前には8割、外遊びのあとではほぼ全員が石けんやハンドソープで手を洗っているということがわかりました。

ただし、指先まで洗っている子どもは全体の2割程度しかおらず、またトイレのあとの手洗いについては約6割が水をかけるだけで終わらせていました。実は手の部位で、汚れやすく、かつ洗い残しが多いのが「指先」です。また、指の間と手首も洗うのを忘れがちになります。つまり、「子どもの手洗い」では、これらの部位をていねいに洗うよう指導するのがポイントです。

子どもには、「指先までしっかり洗った?」「手首にもバイ菌がついているんだよ」など、わかりやすく手洗いを指導してあげることが大切です。